切り絵作家モチメ
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英国切り絵滞在記8


英国切り絵滞在記8 「イギリスで闇を思い出す」


観覧車、真横から見るとイマイチなんだかわかりませんね。
ここはどこ?大阪です。(その他の写真はイギリスです)

ライブでもないのに大阪に行くのは、京都に越してから初めてかもしれない。
少しの明りもない真っ暗闇の空間を、視覚障害を持つアテンダントさんの案内で体験するというイベントに行ってきた。
暗闇のソーシャルエンターテインメント、とチラシに書いてある。


なぜ「英国切り絵滞在記」で日本のイベントのことを書くのか。
何年か前、確か実家のラジオでこのイベントのことを知ったときは、「お金を払って暗闇を味わうなんていかにも都会人の考えそうな企画だ、しゃらくさい」と、ひねくれものの私は思って、そのまま忘れていた。
それが、この夏のアーティスト・イン・レジデンスで、東京のそのイベントに参加したアーティストがいて、そこで思い出し、日本帰ったら行こう、そう思ったから。




私は、闇にとても興味がある。京都に行くことが決まったときに、闇を見たいんですと、友達と話していた。京都は闇に深さがあるところだと思っている。歴史がある分、時間の奥行きが加わっているからか。
もちろん象徴的な意味の「闇」と、実際に光のない状態をさす「闇」と、別物といえばそうだけれど、「闇」という言葉が含むいろいろなものに興味がある。
今回の暗闇体験も、そのひとつ。
それに、薦めてくれた彼女の作品や活動に興味を引かれたし、彼女が感じたその感覚を自分がどう感じるのかも、知りたかった。

感想。
期待以上のすごいことが起こるわけでも、期待はずれでがっかりするわけでもなかった。
そういった、派手な感情の動きを起こす体験ではないかもしれない。
でも、行ってよかった。
チラシにもあるとおり、入場料で運営費をまかなっているそうで、安くはない。
それでも行ってよかったと、心から言える。
今回の参加者、案内してくださったアテンダントの組み合わせが、一期一会の妙で、とても良かった。
でも、これはたぶん、いつ参加しても、誰しもがそう思うと予想する。
初対面でこういった近しさを覚えることができるのも、暗闇の持つ味わいのひとつなのだろう。




私が参加した回は、ひとりは日本での暮らしが長い外国人男性、ひとりはそのお友達の日本人女性、そして私。アテンダントは、視覚障害を持つ日本人青年。
HPを見たときに、視覚が使えない場では言葉でのやり取りが重要になるため、日本語を理解できない方の参加はできないとあった。もちろん今回の参加者の彼は日本語がとても堪能な方だった。
でも話しているうち、もちろん英語も出てくる。
そして、対応する日本人のアテンダントさんもやたら発音がいいなあと思ったら、なんと彼はイギリスに語学留学していたんですって!
それで全員でなんだか盛り上がり、とても楽しかった。
もっと話をしたかったし、聞きたかった。

イギリスがくれた日本での出会い。



真の闇のなかで過ごす時間は、そう、時間がとても短かった。
たぶん、視覚は「一瞥」という言葉もあるとおり、一瞬一瞥で、空間、距離、意味、多くの情報を把握する。
それがないために、音、てざわり、足の感触、においをたよりに、ひとつひとつ、一歩一歩確かめて動くから、すべてに時間がかかる。
約1時間が、あっという間だった。

そしてこの闇の中で目を開けて動く感覚、私自身はしばしばシミュレーションしている。
実際に目を開けて、見えない闇をよく見ている。先日の台風で停電のときも、参ったなあと思いながら真っ暗の家の中を手探りで動いたりしていた。
というのも、私は切り絵をできなくなったら死ぬと思っていて、もし目が見えなくなったら、手が使えなくなったらどうするかということは、時に具体的に考える。
それでも何とかして切り絵をつくる方法を編み出すのか、他の創作をするのかはわからない。
でも必ず、何かをつくろうとするだろう。




温度も、印象的だった。
中庭に出たときのひやりとした空気、乾してあるふかふかの毛布のぬくもり。
ちょっとひとの体にぶつかってしまったときの温度。
出していただいた紅茶のカップの温度。
飲み干した後のカップをいつまでも手にして感じていたぬくもりが、てのひらに残っている。

視覚以外の感覚で歩き、訪れた空間。最後まで目で見てはいない。
体験した直後は、その感覚をそのまま受け入れていただけれど、少し時間が経って思い出すと、その記憶に「かたちのようなもの」が現れていることに気がついた。
ようなものというより、かたちそのものといっていいかもしれない。
これは、何もないところから絵を描くという、普段している行為に通じるところがある。
別の道筋だけれど、「目で見えないもののかたちが現れる」という点においては共通している。
なんて興味深いことだろう。



さて、京都大原留学記番外編英国切り絵滞在記(長い!)今回で終了です。
ちょうど来週、ロンドンで開かれる、アートコンペの入選作品展で作品が展示されます。
たった1点ですが、最初の一歩、うれしいです。


 
 

今回の滞在でわかったのは、「イギリス、ロンドンが実際めちゃくちゃ好き」ということと「今、ここ京都で創作ができるありがたさ」の2つです。
ときどき、もっと早く京都に来ていればよかった、もっと早く海外に目を向けていればよかった、そう思うこともありますが、でもたぶん今でよかった、今だ!と感じたときがベストなのだろうなと思います。


最後に、私の活動紹介の文章に、イギリスで新しくできた友達が付け加えてくれた一文を紹介して終わります。

"She aims to bring her paper-cutting artwork from the cultural heart of Japan to the rest of the world."

日本の文化のハートから世界へ、すてきな言葉ですね!
またどこかで、切り絵をご覧いただける機会があればうれしいです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。



Liverpool Street-Boogie Woogie!?
 
| 英国切り絵滞在記 | 10:51 | comments(0) | trackbacks(0)
英国切り絵滞在記7 酒

Q,How many glasses did she drink?

英国切り絵滞在記6 「酒」

A、I'm sorry I don't know.
I can't count...Terrible!!

 

 







 

酒場の風景はいいものですね。


 
| 英国切り絵滞在記 | 10:38 | comments(0) | trackbacks(0)
英国切り絵滞在記6 美術館

"20:50" RICHARD WILSON  at The Saatchi Gallery

英国切り絵滞在記6 「美術館」

ヨーロッパで美術館めぐり。あまりに王道。
大学生くらいのときに「老後の楽しみにしよう」と心に決め、それ以降記憶の引き出しに入れっぱなしに。
ロンドンからパリは電車で行けるよ、すぐだよと教わって(全然知らなかった)ひと月の滞在の最後、数日パリに行きました。
フランスって興味の対象がわからない・・・なんて思っていましたが、あ、美術館があった。正攻法すぎて、忘れていた。

ロンドン〜パリと、時間の許す限り足を運びました。
行った順番に載せます。
限られた時間でしたが、これまで作品の参考にしてきた、デッサンしてきた、教科書で見た、オリジナルの数々を観ることができました。眼福至福この上なし。
嗚呼、次はイタリアにも行きたいね!!

1、ナショナル・ギャラリー


スーラ、グレコ。
人が絵を見ている様子を見るのも好きです。絵の外の目撃者という感じで。

ロンドンの美術館では、結局ここが一番好きだった。

ボッティチェリ、レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロ・・・ルネサンスの巨匠たち。
ここではとりわけ、ヤン・ファン・エイク。
こんな間近で観られるなんて、なんて贅沢。
レオナルドの作品は、油彩も素描も、人間が手で描いたのではないような・・・なんとも異質で、ぞわぞわ来ます。


どこのミュージアムショップでも、画材の取り扱いが多かった。
これは日本ではあまり見かけない、いいことだと思う。
絵を観て、創造性に刺激を受けて、すぐ取り組めるこの近しさ。すてきだ。

2、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
ロック名所めぐりでも触れました。
目的はピート・タウンゼントのギターでしたが、装飾美術の収蔵品が多く、楽しみました。楽しすぎました。
モノ、多すぎ!
鉄の螺旋天国はめまいがした、好きすぎて。

欲しい・・・
どこまでも続く、ぐるぐる天国。


歩き回ってヘトヘトで、ペタリ座り込んだベンチから、ふと目に入った小さな文字。
Cut Paper...?
取っ手がついている、もしや。
その引き出しを開ければ、200年前の異国の切り絵が。

まじか・・・
さらに帰り際、その不敵な面構え、まさか。

パックだし!(フロム『真夏の世の夢』)
容赦ないですね、隅から隅まで。

カップ&ソーサー。
どこ持てばいいの。


3、大英博物館

パルテノンの彫刻もですが、ギリシャの壷が観たかったんです、赤絵の、黒絵の、壷が。
線描で描かれた神々の姿、螺旋、植物、翼、動物、楽器、調度。

極まった線描に目がない私には、まさにツボ。
それと、ケルト。
今回の切り絵で参考にしたケルト模様の、オリジナルにも会えた。
時を超え伝わる美しい形の力強さは限りなく。
 
 
4、テート・モダン
おりしも、マティスの「CUT OUTS」の特別展が開かれていました。
マットな質感に着彩された色紙を、切りぬき、構成された大作の数々。
大きな色面による形の構成は、今後のヒントになりました。
いつか細かい作業ができなくなったときに、たぶんすごく参考になる、するであろう。
こういった蓄えは、すぐに必要にならなくても、忘れたころに取り出せるよう、記憶のストックへ。

一番好きだったのは、青の色面で構成された女性の体。
印刷物だとわかりにくいですが、たくさんのパーツで女性の体が形作られていました。
モチーフに女性が多かったです。


”CUT”の文字の下にいるだけでうれしい。

5、テート・ブリテン
ラファエル前派が目的。いよいよの、イギリス絵画ですよ!
収蔵品はよかった、観たかったものたくさん。
しかし、照明が、ディスプレイが・・・絵が、観えないんですけど!
あとでイギリスの友達に、あの美術館の収蔵品はすごいのに、照明とディスプレイは残念だと言ったところ、ここでもみんなそう言っている、とのことでした。
ミレーのオフィーリアも、え、これオフィーリア?オリジナル?とわからなかったほど。
文化村で観たときの浮かび上がってくる美しさとは、全く別物。光にさらされすぎて。
ジョン・ダンカンもバーン・ジョーンズもすごいのがたくさんあるのに、反射で観えないよ・・・もったいない。

広い壁面を上から下まで埋め尽くしていて、贅沢といえば贅沢ですが。
あ、このオフィーリア、漱石の「草枕」に出てくるのですね。
どこで観たのかなあ、不勉強でわからず。


コンテンポラリーも。この光の具合はいい。

6、サーチ・ギャラリー
冒頭に載せた、リチャード・ウィルソンのオイル部屋のある、現代アートの美術館。
美術の分野で最も好きなのは平面の絵画ですが、コンテンポラリー、インスタレーションも、実際に行けば何らかの楽しみ、興味が見つかります。
全然引っかからずに素通り、また、不快感を感じて立ち去ることも、自分の感覚のひとつを知ることになり、それも大切な体験です。
私の足袋が映り込んでいる。
オイルの黒、ライトの反射、ガラスの映りこみ。
この作品を維持するのは大変なことだ。

ここで思ったのが、「美術」とう日本語の言葉の不思議です。
しばしば、言葉の出自が気になります。
今使われている言葉は、古くから日本に伝わってきた言葉と、近代化の時点で西洋の言語を翻訳?造語?した新しい言葉が混在しています。
今の日本語では、「美術」は「芸術」の1ジャンルとしての定義ですが、英語では、「美術」も「芸術」も、Art、ですよね。(ですか?美術はFine Artとも、するか。)
なぜ、日本語では、「美術」というジャンルだけが、「美」うつくしいという字を含むようになったのか。
音楽だって、文学だって、美しさを含むじゃないですか。
美術だって、美しさとはちがう表現を、含むじゃないですか。
なのになぜ、視覚芸術に限って美術と言う?
岡本太郎は『今日の芸術』の中で「芸術は「きれい」であってはならない」と言いましたが、これも、美術という日本語があってこそ、より強い意味を持つ言葉であると思います。
ちなみに岡本太郎は大好きです。
ちょうど私が高校生のころ、美大を目指すことに決めたころに亡くなり、よく本を読みました。青山も川崎も行って、敏子さんがいるかも・・・!なんてドキドキしたものです。
そう、「現代美術」という言葉が、難しいなと思ったのです。
ああ、でも、その時代の「美」を問う表現と考えれば、やはり、現代「美」術でいいのか。
美しいってなんなのか。
それを問うているのか。
着物の回でも書きましたが、どうも、ここに思い至る旅のようです。

(語源が気になって、Wikipediaに聞いてみました。やはり明治のようです。以下、「美術」から抜粋引用:

「美術」の語源
日本語の美術は芸術即ち、『後漢書』5巻孝安帝紀永初4年(110年)2月の五経博士の劉珍及による「校定東觀 五經 諸子 傳記 百家蓺術 整齊脫誤 是正文字の「蓺術」から来ており、本来の意味は技芸と学術である。
「美術」は、1873年(明治6年)、日本政府がウィーン万国博覧会へ参加するに当たり、出品分類についてドイツ語の Kunstgewerbe および Bildende Kunst の訳語として「美術」を採用したのが初出とされる(山本五郎『意匠説』:全文は近代デジタルライブラリ所収)。すなわち「墺国維納府博覧会出品心得」の第二ケ条(展覧会品ハ左ノ二十六類ニ別ツ)第二十二区に「美術(西洋ニテ音楽、画学、像ヲ作ル術、詩学等ヲ美術ト云フ)(後略)」と記される。あるいは西周 (啓蒙家)が1872年(1878年説もあり)『美妙学説』で英語のファインアート(fine arts)の訳語として採用した(「哲学ノ一種ニ美妙学ト云アリ、是所謂美術(ハインアート)ト相通シテ(後略)」とある)
また、1877年(明治10年)の『内国勧業博覧会区分目録』には、「第三区 美術 但シ此区ハ、書画、写真、彫刻、其他総テ製品ノ精巧ニシテ其微妙ナル所ヲ示ス者トス」とあり、ファインアートのうち視覚芸術に限定した概念となった。詩、音楽、演劇などは上位概念の「芸術」が使われている。)

あと、ぜんっぜん関係ないのですが、クリムト。
クリムトって、初期は写実、スーパー・リアリズムだったんですね!
知らなかった・・・
7月に実家帰ったときにポストカードがあって、あれ、これ、全部クリムト?って驚いてしまった。

7、ナショナル・ポートレート・ギャラリー


肖像、時事にまつわる作品の他、神話、宗教画も多く、もう一度ゆっくり観たい美術館です。

ロンドンの大きい美術館で、今回行ったのは以上。
この他、地方の博物館や街のギャラリーへ。
よく回りました。

ユーロスターでパリへ。
2泊3日で自由に動けるのは真ん中の日中のみだったので、モロー美術館にしぼり、少し街歩きして時間ができたので、2時間ほどルーブルへ。

8、モロー美術館

ギュスターヴ・モローには思い入れがあります。
高校2年生の遠足が上野で、そのときに
西洋美術館でモローの特別展が開かれていました。
もちろん絵は好きだったしそれまでいろいろな展覧会にも連れて行ってもらっていましたが、これだけ、ひとりの作品の力に魅せられ、ぐいぐいと作品に引っ張られる体験は、この展覧会が初めてでした。
このときに、美術展で作品と対峙する自分なりの感覚をつかみました。
モローの数をまとめて観られるのは、そのとき以来。


生き物のような螺旋階段。

モロー美術館にある作品は未完が多いのですが、むしろそれが、今回ぐっと来た。
自在に筆を走らせているように思われる線と、非常に緻密にグリッドを組んで、下絵を拡大して写しているところと、両方を見られて。
こらすごいと、ぼたぼたと涙を落としながら、その日の午前の開館時間、目一杯、見尽くしました。


螺旋階段の上から。

デッサンもすべて観た。
アトリエに浮世絵が飾られていて、ほおと思い、ほお、ジャポニズム、影響していたのか・・・まさか描いてないだろうなあと思ったら、あった。
モロー、浮世絵を模写していました。
う、わー。。。
泣いたり声に出さずに叫んだり、忙しいです。


なんてすてきな。室内。窓。
モローも見た景色、なのかな。

9、ルーブル美術館
締めは、ルーブル。
イタリアに行っていないのにどうかと思いますが、でも言ってしまう。
西洋美術の美術館では、間違いなく世界一、でしょう。
ボッティチェリが、ラファエロが、素通りされる美術館て!!
なんてことだー
みんなまずはモナ・リザを目指していくので、そのエリアの途中にある巨匠たちが、後回しにされるのですね。
おかげでゆっくり観られました。
本当にびっくりよ。

しかも建物自体がこれですもの。

なんなの・・・

彫刻もね・・・


マルス!
胸の筋肉を見て、ああ、この厚み!と、石膏デッサンしていたときの20年前の感覚をありありと思い出した。

ニケは修復中との情報をウェブで見ていて、観られないかなあと思っていたのですが、真新しいホールで迎えてくれました。

このムーヴメント。
近くで観ていると、服をたなびかせる海の風が肌に感じられるようでした。

 


駆け足だけれど、たくさん観たなあ。
なんだか、10代のころレプリカをじっと見ていた、西洋美術のオリジナルとたくさん出会って、そのころの自分とも出会いなおしたようで、面白い感覚でした。

ふと、メトロで乗り合せた人びとに、ギリシャ彫刻の神々の姿や、宗教画の天使の姿が重なる。
スーツのビジネスマンに、ワンピースのレディーに、カラフルなTシャツの子どもたちに・・・
今、リュックを背負ってこの絵を見ている彼女にも、女神の姿が重なって見える。
頭蓋骨の形、体の厚み、カールした髪の質感が、美術作品を通して見つめてきた、古代の西洋の人びとの姿、そのままを受け継いでいる。

時間が交錯します。

彼らの、東洋人とは異なる骨格、筋肉。
かえりみて、日本にいれば、ツケマにシャドウでパッチリメイクをした女の子の、その、素の、遡った姿が見えてしまう。屏風に、掛け軸の中に、着物でたたずんでいる姿が。
どちらも、それぞれに美しさを湛えて。


それと、この滞在中に改めて思ったこと。
男性の、女性のヌードに対する憧れ思い入れは、相当なものなのだということ。

女の身ではふと忘れてしまう・・・それだけでなく、日本では、男性が女性の身体の美しさを表立って讃えることが少ないということも、意識しないできてしまう要因かもしれません。
奥ゆかしさは美徳でもありますが、美しくあることに、それを賛美することに、遠慮は要らないと思います。

 
| 英国切り絵滞在記 | 10:38 | comments(0) | trackbacks(0)
英国切り絵滞在記5 着物
イギリスで切り絵、ロック名所めぐり、着物でロンドン。
いたってシンプルな野望。
今回はこれ。



英国切り絵滞在記5「ロンドンを着物で歩きたい」

持って行ったのは浴衣、しじら、正絹単衣の3枚。
夏で助かりました。
冬の着物は袷(あわせ)といって二枚重ねになっていて、帯や羽織を入れると一式で5キロ近くになってしまうこともあります。
(以前着ていてあまりにも重くて、実際に計ったことがある。苦行。)
絹の単衣は持って行くつもりなかったのですが、ロイヤルオペラハウスでバレエを観ることになり、それはシルクを着たいなと、急遽詰め込み。このため、足下も下駄1足で済ませるはずが、草履に、部屋履きの雪駄と、計3足に。


下駄はユニクロが中原淳一浴衣を出したときに買ったもの。

でも実は、この下駄こそ一度も履きませんでした。
8月半ば、ちょうどアーティスト・レジデンス期間が終わるタイミングで、夏がストンと終わってしまった。寒いのです、浴衣では、裸足では。
思った以上に活躍したのが雪駄。機内で部屋で近所でと、大活躍でした。

さて、滞在中の8月9日、ロイヤル・オペラ・ハウスで、今回私が切り絵のテーマにした『真夏の世の夢』が、しかも参考に見たバレエの映像の中でもっとも好きだったロシアのマイリンスキーによって上演されるという情報を、バレエファンの友達が送ってくれました。
いつかバレエは観たかった、それがロンドンで、しかもシェイクスピアで叶うなんて!
友達から「大厄の年女のクセにうらやましすぎる絞め殺したい」とメールが来ました。これぞビギナーズラック。
切り絵の作業を中断し、ルトン・タウンからナショナル・レイルで初めてロンドン市内へ。


美しいロイヤル・オペラ・ハウス。

朝から、この日のために追加した絹の単衣を部屋で着付けます。
実はこのとき、手が震えていました。
何度も着た着物、いつもの帯、いつもの髪型、なのに。
強烈な憧れのロンドンにいよいよ行く、しかもイギリスで電車に乗るのも初めて。
それらがあいまって、うれしさと緊張がこのときピークに達していたようです。

しかし、着付け終わり一歩部屋を出たとたん、背筋に芯がびしっと通るのがわかりました。


With Matisse.This exhibition is just for me! 

イギリスに来て、立派な骨格と筋肉をもって堂々と歩く地元の人たちの肉体の姿かたちのよさは、男も女も圧倒的に美しく、飽かず眺めていました。
自分がどんなに洋服でドレスアップしてめかしこんでも、Tシャツにジーンズで胸を張って歩く彼らの格好良さには、足下にも及ばないなあとぼんやりと思いながら。
これは卑下ではなくて、冷静に美しさを視ることは、対象が自分であっても、あればこそ、時に必要。(時に無視!)
だからこそ、着物を着たときに初めて、自分の姿に自信を持って、堂々と外へ出かけていったことに驚きました。
さっきまで手が震えるほどナーバスになっていたのに!

日本人の肉体をもっとも美しく包む衣服は着物なのだということを、改めて実感した瞬間です。
そうか、洋服は「着るもの」であるけれど、着物は「包まれる」ものなんだ。



パリの宿にて。

ただ、私は元々着物が好きですが、かといって「日本人は全員絶対に着物を着るべき」とは思っていません。
何事においても、自分が好きな物事を万人に薦めたいという思いが少なく、むしろそういうことが苦手です。私自身がそのようにひとくくりにされるのが苦しいからです。
そのような感覚でありながら、「着物と日本人のからだ」の強烈なマッチングには頬を張られる思いでした。
長い年月をかけて今ここにたどり着いた、この肉体と着物という衣服の組み合わせの美しさ、また、それを美しいと感じる共通の感覚を持ち合わせた人たちが、異国にも存在しているということ。
不思議です。
美ってなんだろうなんてことを、思ってしまいます。

海外で着物、ここから得られたことはまだまだあるのですが、まとめられずにいます。
言葉は、むずかしいです。
思い残しつつ、今回はこれにて失礼いたします。
| 英国切り絵滞在記 | 15:58 | comments(0) | trackbacks(0)
英国切り絵滞在記4 ロック

All of buses should be painted this design!

英国切り絵滞在記「ロックをめぐる冒険」

渡航前、ロンドンの地図に「ウォータールー駅」の文字を見ただけで、涙をにじませてしまった私です。シャラ〜ラ〜
今回はひたすら、大好きなロック、ロックで参ります。

1.Victrian and Albert Museum

パンチとジュディーの右下にたたずむのは・・・!?


そう、One of my best favorite band 'The Who' Pete Townshentのギターです!
たしか最後にピートがギターを壊したのは、日本のロックフェスティバルです。
かっこよすぎて泣きます。


壊れたギターを収蔵する国立博物館、その懐の広さ、大好きなセンス。
このTheatre and Performance部門には他にもこんな展示が。おおお。
さすがオリンピック閉会式をロックフェスにしてしまった国です。大好き。


ミックやペイジの衣装。スマーーーート!!

'Power to the people'ありがとうV&A

2.The Beatles 'Masical Mistery Tour' London Walks


ビートルズ・スポットを2時間かけて歩くツアー。
ツアーガイド横のかわいいロック・キッズが着ているハーフ・シャドウTがうらやましくて、後で似たようなのを買った。
今回ビートルズTシャツ3枚買いました・・・
ジョンの住んでいた部屋を見たり、ポールとリンゴが結婚式をした協会を見たり、最後は目玉の、アビーロード!
渡った・・・感無量。
白線のジグザグが美しくないけど、道と木々と建物のたたずまいに、じんわりと。


解説にも熱が入ります。
ところでこのツアー、参加者に天使がいた。
この巻き毛のブロンドってば・・・!
ちゃんとガイドのお話聞いていてSooo Cute!


3.York Castle Museum'The Sixties'


古城。
ロンドンから列車で2時間の古都ヨーク。
史跡が好きなのでその目的で来たのですが、なぜここにこのような?というロックとの出会いが。
Englandの歴史の美術館だから近現代のコーナーとしてあるのでしょうが、古城との取り合わせとのミスマッチにぶっとびました。
入った瞬間"My Generation"かかってるし!!

ここで会ったが百年目と、ロジャーに速攻ひっつく私。
ビートルグッズのギターのなんだろうこれ・・・欲しい・・・


奥にベスパまで!なにここは〜
ヨーク・・・不思議な街。見かけたいろいろ。MOR?Not Rock!?


4.The Kinks Pub

Ray Davisが住んでいた家の前にあるパブ。
キンクスのファーストライブとラストライブはここでしたんだよと、連れてきてくれた新しいロック友。
それは、ラストは、超プレミアだっただろうなあ・・・




内装最高、雰囲気最高。
でも、行った日のBGM、現代ポップスだったの!
なんでーーー!!
これでキンクスか、'60s,'70sロックだったら最高なのにというか、かかってないとおかしいじゃない!
(キンクスナイトは別の日にあるみたいだけど)
グラスのワインをブンブン回しながら、今はなきTHE”ロック”食堂を思い出し、いかに贅沢だったかを噛み締めた。
おいしい料理を食べながらお酒飲みながら、いいスピーカーで大音量で好きな音楽を聴けて。今こそ行きたい。もっと聴きたい。

後ろで踊るオネーチャンに加わりたい。

5.'Let It Be' Musical at Garric Theatre


遠目には、かなり・・・!
そっくりビートルズによるバーチャルコンサート、でも、充分楽しみました。
さすがに演劇の国、声も動きもよく似せて、しっかりとプロの仕事。
当たり前だけど曲がすばらしいから、アンプを通して大音量で聴けて(本当はもっと爆音欲しかった)、それで踊れるだけでも充分幸福。
会場もおじちゃんおばちゃんが楽しんで盛り上がっていていい雰囲気だった。
しかしステージのスクリーンに大写しになるくらい、例によってガンガンに踊りまくっていた私は、ヨークで買ったばかりですごく気に入ったピアスを片方なくしました・・・ええ、バカですよ・・・

ノリノリで大合唱の会場!

以上のように、いろいろとつめこんでロック名所へ出かけました。
ほかにも印象的だったのが、メトロや街のミュージシャン。
みんなそこでの演奏の許可をもらっているプロフェッショナルでしょう。
思わず足を止めてしまう。
時間がなくて通り過ぎてから、あ、ジョージのソロの曲歌ってた・・・とか。
心に残っています。

彼女のステージ。

イギリスで切り絵を発表したいと思うようになったのは3年前、それまでも単発的に好きだったブリティッシュ・ロック、中でもThe Beatles,The Who,The Kinks...といった、'60s-'70sのバンドに、ぞっこんはまり始めてからです。
大好きなバンド以外も、当時のロック・スターがそれぞれまとうこの時代のatmosphereは特別で、ミュージシャンばかり30人のポートレートを切り絵で作ったりしました。

ロック以前、10代のころからひきつけられてきたイギリスの文化。
アリス、マザーグース、シェイクスピア、妖精、ケルト、・・・
もちろん現在の文化であるロック・ミュージックにもこれらの影響が垣間見えることもあり、私がイギリスのロックに惹かれたのも、もともと親しみがあったからと思う。

私が惹かれてきたものは、音楽にしても文学にしても、伝統文化にしても、もちろん美術においても、大体においてイマジネイティブで、映像的、演劇的です。
すべての意味が聞き取れていなくても、音楽や言葉の連なりのイメージから、物語が感じ取れ、映像の色彩まで浮かんでくる。
たとえば"Lucy in the Sky with Diamonds"
聴くだけで広がる、あの、青と金のきらきらのイメージ。

想像力、創造欲を刺激され続けてやまないのが、西洋では私の場合主にここイギリスの文化なのです。

元来の土着の文化と、海で隔てられた大陸からの絶え間ない影響。
この二つが交じり合いながら、島国という限られた土壌の中で独自の発展してきた文化、その日本との共通性に共振する部分も、実際に見聞きし、ところどころある気がします。

ともあれ、今の私の情熱の矛先は、ロックです!
ゆえにこの旅も、ロック・スポットに必然的に向かうことになりました。
ああ、本当はライブに行きたかったよ、リサーチもしたけれど、今回はあきらめたよ。
The Whoのラストツアーは年末だよ。
さすがに、年に2度もイギリスに行く余裕はない気がするよ。
でも、今回のロンドン'60s-'70sロックをめぐる冒険、充分に楽しかったです。
また、他にもここゆくべし!というお勧めスポットがあれば、ぜひコメントで教えてください。
次の楽しみにします!


Waterloo sunset's fine...!
| 英国切り絵滞在記 | 11:11 | comments(0) | trackbacks(0)
英国切り絵滞在記3 切り絵

特に面白いことは起きません。この調子で、丸一日。
常に左手の小指が立っている。


英国切り絵滞在記3 「切り絵ができあがるまで」

lost luggageで2日遅れで荷物が届いたその日から、作業を始めました。
環境の変化やトラブルからの自律神経への影響か、手汗を異常にかいていて、あっという間に本番の紙がふにゃふにゃに!
作品に直に手が触れないようにするあて紙が、コピー用紙一枚では足りない。
こらあかんと、2枚のコピー紙の間にビニールをはさんだ、特製あて紙を作る。手袋も持って来ていてよかった。
でも、作業2日目以降は落ちついて、ひどい手汗も収まりました。
切り絵の作業は本当に集中を要するし、作業しながら自分の体調や内面がよくわかる。常に安定して切り絵をできるコンディションを保つことが大切です。

さて、ここから一気に、作品を仕上げていく過程の画像を載せます。
黒い一枚の紙が、少しずつ切り抜かれて形が現われてくる。
質量が減ることで、新たな「絵」が生まれる不思議。

 1日目、約5時間。
 2日目、約8時間20分。

 3日目、約7時間。
 4日目、約8時間。
 5日目、約9時間。
 6日目、約6時間30分。
 7日目、約8時間。
 8日、9時間20分。
 9日、12時間20分。








"A Midsummer Night's Dream" Mochime Paper Cutting 2014
累計時間73時間30分(1日平均8時間10分)
変えた刃の枚数80枚(うち2,3割ほどは切れ味悪く使えず)


今回は台紙に貼らず、切ったままをアクリルフレームに入れ完成。
このフレームも日本から持ち込みました。

制作過程の画像は、リアルタイムで毎日、オフィシャルサイトFacebookにアップしていました。
通常は、作品が仕上がるまでは基本的に写真は載せません。
途中の過程が人目に触れることで、自分の心身の状態に影響が出て、切る作業に影響してしまう可能性があるからです。
考えられるリスクは完璧に避けて作業しています。
今回は、せっかくの機会なのでチャレンジしてみました。
些細なことのようでも、やはり少し、気持ちと作業に影響がありました。
でも、プラスのほうが大きかった。
アップした画像を見てできていく過程が自分でもおもしろかったし、なにより見てくださった皆さんの反応があたたかく、本当に励みになりました。
コメントくださったり応援してくださった皆様、ありがとうございました!本当に感謝です。



スーパームーンが上る数時間前、同じ場所にかかった。虹のゲート。

海外での初めての制作で、無事に完成させることができ本当によかった。自信になりました。
前回制作の環境づくりのことを書きましたが、もうひとつ、制作に入る前と終わったあとにする大事なことが、ぱちん、ぱちんと手を打つこと。
ごはんを食べるときに「いただきます」「ごちそうさま」を言うのと同じ感覚です。
身一つでできるささやかな儀式。
よしやるぞ!という気持ちになるし、部屋の空気が創作のための場に変化する、気がする。
拍手を打つのは、歌舞伎や相撲といった伝統文化の世界ではよく見られる光景ですが、演劇の世界では現代劇の小劇場でも小さな神棚がたいていあり、学生のころ演劇部だったこともあって身近に感じ続けていて、自分でも自然とするようになりました。
基本失敗が許されない作業なので、特に大物に取り掛かるときは、無事に切り終えられますようにという気持ちをこめて、手を打って始めます。今回もぱちん、ぱちんと始め、終わりにも手を打ち、元の空気に戻し、安定した環境を保ってくれた部屋へ感謝をし、レジデンスを後にしました。


部屋の窓からいつも見ていた協会。
中に入れていただき、ステンドグラスの美しさに息をのんだ。
ありがとう、ルトンの町。


次回はおたのしみ、ロンドン・ロック観光についてレポートします。
あの交差点も渡ったよ!
| 英国切り絵滞在記 | 12:53 | comments(0) | trackbacks(0)
英国切り絵滞在記2


英国切り絵滞在記2「作業環境を整える」

8月4日〜17日
いよいよArtist Residence in UK、イギリスでの切り絵制作本番です。
今回は、それを支えるここでの日々のくらしのことをご紹介します。
約2週間にわたる作業で、集中とリラックスした状態を保つために、環境づくりはとても大切です。

まず衣服。
普段京都のアトリエでするときは、締め付けのないひたすら楽な格好。
でも、外で実演する機会もしばしばあり、できれば作品に合った伝統的な服装をしたい。
着物がベストなのですが、あの帯の幅は、前かがみの姿勢を保つこの作業には全く不向きで、長時間は無理です。
模索の結果、たどり着いたのが作務衣。
上の写真で着ているのがそれ。
お坊さんが普段着にされたりもしています。それだけ労働向きで、しかも日本的なイメージもある。洗濯機で洗える実用性もポイント高し。
私が着るとちょっと居酒屋の姉さんぽくなってしまうのですが、木綿で着心地よく、楽で好きです。
足もとは、部屋や近所への買い物、飛行機の中でも雪駄をはいていました。

これは浴衣。ちょっと無理してるとこ。

食べ物は基本自炊です。
とはいえもともとI don't like cocking(>_<) なので、日本の夏と変わらず、ラタトゥイユをつくり置きしてして野菜を食べて、あとはパンを主食にハムチーズ卵くだものなどなどで、日々過ごしていました。
時々惣菜パンを買ったりして、モノめずらしく飽きず、特に不満のない食生活。
TESCOで買える野菜が、日本のスーパーのものに比べ、野菜の力、味も生命力も強く、冷蔵庫で日持ちもしたので、おいしくいただいていました。
調味料も塩コショウだけで平気。
特にしょうゆやお味噌も恋しくはならず、その場で食べられるもので充分でした。
あ、ちょっとだけ柿ピーが食べたくなったけど。
無意識におやつのために買ったビスケットが、ブルボンだったのは軽くショックでした。


元気な野菜たちとある日のごはん。中食いろいろ。
セロリは葉っぱが切り落とされてる!おいしいのに〜


忘れてはならない、忘れるわけがない、音楽。
作業への集中や、気持ちの鼓舞、リラックス、自分のモードの切り替えにとても重要です。
スピーカーもいつも家で使っているものを持参。
たいてい日英どちらかのロックを聴きますが、今回はほとんどThe Beatlesでした。
日本の音楽では、たま、たけヒーローを聴いてた。
たまは聴きこみすぎて、ほとんどめったに聴かない、聴けない大切な音楽ですが、今回なぜかふと聴いた。
たけヒーローは友達で、たぶんここ1年で一番聴いている日本のミュージシャン。

だいたい毎回、今回はこの曲、アルバムという風に、テーマ音楽が自然と決まってきます。
今回最大の一曲はThe Beatles"Strawberry Fields Forever"でした。
この曲がかかったとき、今回の旅で初めて泣いた。
荷物が届かなくても夜道で不安になっても涙なんて出なかったのに、この曲で、初めて。
しばらくエンドレス・リピート、数時間聴き続けながら作業していました。
あとは"Let It Be Naked"の最後の、メンバーの会話とセッションの様子が聞けるトラック。
会話の声自体が魅力的で、何度聞いても飽きなかった。
あとはThe Kinks、The Who。
この調子ですから、もちろんロンドンでロック観光しました。この話はまたの機会に。

大事な相棒たち。

さて、前回書いたとおり、個室での作業で、外界と接触する機会が一切設けられていなかった今回の滞在。
現地のマネージャーに申し出てもそういった機会の設定は難しいようで、ならばと自分たちでできることをしていくことに。
もちろん制作環境にプライバシーは必要だけれど、少なくとも海外に出て創作しようと意識で来ているのだから、日本と同じ環境で満足がいくわけがない。
もちろん法に触れる無理はしないけれど、何もしないで後悔するよりも、失敗してでもしてみないと気がすまない性格です。
以下、希望リスト。

・施設がある大学にアートコースがあることを発見、交流できないか交渉してみる。
・画家のKさんが持参されたお茶の道具で、カジュアルお茶席を現地の人も見られる共用スペースでする。
・オープンスペースでの作業。

すべて実行しました。
特にKさんとは、こういった海外での交流の意識が共通していたので、一緒に大学へもアタック。
セキュリティーがきつく一発ではじかれることも覚悟していきました。
大学の職員の方は最初、なんやこいつらはという顔。当然です。
でも、日本から来たアーティストで、見学だけでもさせてもらえたらうれしいと申し出ると、できるかわからないけれど、次の受付に行ってみなさいと、最後は親切に教えてくださった。
結局夏休みで交流はできなかったけれど、学内で作品を見学できたり、よい経験でした。
親切に対応してくださった皆さんに感謝。

学内にあって気に入った絵。

お茶会も、今回のレジデンス参加者全員で顔を合わせられて、和やかで楽しかったです。
ありがとうKさん、みなさん!

Kさんセレクトの茶器やクロス。おしゃれ!

共用スペースでの作業も、1時間ほどですがしました。
今後、海外で展示するときなどには、もっときちんと制作の様子を見ていただける機会を設けます。
ロンドンのギャラリーで切り絵を見る機会があったのですが、'Hand Cut'とキャプションにありました。
手で切っていることを強調している。
だからこそ、やはり実際切っているところを観てもらいたい。

切り絵の作業は、極度の集中を要するのでプライバシー環境はもちろん大切。
同時に、私は人や場所と交流していきたいタイプの作家です。
創作はもちろん、作品を伝え、作品を通して美しさ、切り絵の魅力を伝えていくことも自分の役割と思っているし、それができることが最上の喜び。
だから今後も、外に出て行く機会があれば喜んで出かけていきます。
国内海外、おこしやす〜!というお話があれば、ぜひ教えてください。
どんな出会いがあるのか、いつでも楽しみにしています。

次回は切り絵制作の過程を、画像とともにお伝えします。


切り絵と一緒にどこまでも


 
| 英国切り絵滞在記 | 15:20 | comments(0) | trackbacks(0)
英国切り絵滞在記1


ハローハロー。
ロンドンから着物でこんにちは。
ご無沙汰してます、切り絵作家のモチメです。
京都大原を拠点に切り絵の創作活動をしています。
「京都大原留学記」と題したこのブログで、暮らし始めたいきさつ、その様子をつづりました。
今はもはや定住したいぞと、望んでおります。
本当にすばらしいところで、惚れこんでいます。

さて、2014年8月、アーティスト・イン・レジデンスで切り絵の創作と、美術館・ギャラリー巡り、近郊の観光で約ひと月イギリスに滞在しました。
ロンドンで創作活動をするのは数年来の念願です。

今回は、その一歩となる滞在。
その記録を数回に分けて不定期に更新していきます。
切り絵制作の過程、美術館、着物、'60s'70sロック、パブ、観光・・・このあたりをテーマ別にアップしていく予定です。
しばしお付き合いいただけましたら幸いです!


英国切り絵滞在記1「旅の洗礼」




8月2日
憧れのイギリス上陸は、いきなりのトラブルで始まった。
ヒースロー空港でいつまでたっても預け荷物が出てこない。
トランジットの上海空港でのlost luggage。
たまたま印象に残っていた赤いシャツのイギリス人の男の子が、受付で話しているのを発見、走りよって私もだ!と訴ったところ、やっぱり・・・
私はしっかり乗り換えできた、でも、荷物君が置いてけぼりに。
いつ届くのか、Monday!?あさって!?
しかもあなたの英語はすっごくイントネーションが難しい!
赤シャツくんが通訳してくれます、助かった・・・ありがとう・・・
でも、このすったもんだで予約していた長距離バスには乗り遅れたよ!!
手数料払って再発行、予定より1時間半遅れてルトン・タウンへ。
しかもWi-Hi不通でアーティスト・レジデンスの現地マネージャーに連絡ができず、夜の11時に異国の見知らぬ町でいきなり単独行動。しかも、冷える!
ちくしょー、負けない。
Saturday Nightで騒ぐ兄ちゃんたちにHey Girl!と声かえられても、ガールじゃなくてよ今月誕生日で36よ年女よと内心毒づき無視してすりぬけ、印刷した地図を頼りにレジデンスの近くまでたどり着く。
でも、、、大学キャンパスにありがちな、似たような造りばかりで、建物がどれか、全くわからない!
そのとき大学警備か職員らしき女性が通って、駆け寄り声をかける。
ああ、受付はあの建物よと教えてくれる。
そして、夜になると無人になる可能性があると事前に言われていて、最悪野宿もありうると思っていた受付に、人がいた!
助かったあ。
何とか部屋にたどり着き、シャワーを浴びて、ばったん。

Coachバスの窓から。ゆれる、ゆれる。細く赤い月が見えた。

8月3日
こういった可能性もあるからと、1泊分ほどの着替えとシャンプーなどは手荷物に入れていて、非常に助かった。
でも、肝心の、切り絵の道具は当然預け荷物・・・ナイフだから、持ち込みようがない。
この日から早速作業を始める予定も変更、とりあえず明日荷物が届くことを信じ、近所のタウンセンターへ食品や上着(昨夜の寒さに恐れをなした)などを買出しに。
部屋を出たとたんレジデンス参加者ですか?と関西弁が。
今回の参加者と初顔合わせ、京都の画家Kさん。一緒に買い出しに行く。
軽く下調べしていたので、さくさく歩いていくと、慣れてますねーと言われる。
でも海外15年ぶりなんですよと言うと驚かれる。
英語も、ラジオで基礎英語と友達に数日習ったのと、発音はYoutubeで練習、はったりですよと言う。
さて、買い物です。
まずは電化製品店Argosへドライヤーを買いに。
これがないと風邪をひく。腰まである髪を乾かさないと。
Argosは店頭に品物がなく、分厚いカタログが置いてある。
これで調べてその場で注文、店の置くに在庫があればその場で買うシステム、たぶん登録すれば事前注文もできる。
ネットで目星をつけておいた2000円弱の安いものがあったので、買う。
食品店はTESCOがあった!
なつかしい、TESCO。
東京は荻窪に住んでいたころ、近所のスーパーで取り扱っていて、クッキーなどを買ったものだ。
野菜にバナナにハムにチーズ、パン、パスタ、トマト缶。豆乳もある。
5年ほど前、朝のヨーグルトや牛乳を豆乳に変えてから、体調に合っていたらしく調子がよく、それ以降朝に豆乳は欠かせない。
でもイギリスでは無理かなと思っていたけど、そうか、菜食の人などに需要があるのか、Soya Milkとして売っていた。よかった。
上着に日用品に、アイスもハコ買い、ビールも買って、篭城の準備は万端整った。
そして、はたと気づく。篭城?
セキュリティー万全の個室での作業、まったく、外国人と交流ができない!
せっかくイギリスにいるのに英語が聞けない!!
事務局の方に交流の機会を申し出ても、とても、消極的。
ははは。
なら自分で行くわ。
昼のうちに、独りでも入りやすそうなパブを物色していた。
Summer Timeで夜9時半ごろまで充分明るい。

思い切ってゴー、イギリスで初めてのビールは、かわいい安い、缶。
酔っ払ったおじさんたちの会話はほとんどわからない。でも、うれしい。
これから一日の作業の終わりのパブ通いを楽しみに、ここでの日々を送ろう。
荷物があって作業を始めていたら、余裕がなくて思いつかなかったかもしれない。
転んでも、ただでは!


8月4日
レジデンス参加者のみんなと顔合わせ。
洋画、日本画、イラスト、それぞれプロの作家。
実は絵描きの友達が少ない私・・・表現に限らず、他のジャンルのほうがわからないことが多くて、興味をひかれてきたから。
でも、今回ひさびさに絵を描くアーティストの話を聞けて、楽しかった。
自分にはない、でも、ぐっとくる考えも聴けて、すごく面白かった。
この話は、できたら、また。
さて、荷物です。
こんなわかりにくい場所まで、本当に届けられるのか、ものすごく不安だけれど、どうしようもない。
こういうときは絵を描くに限る。
以前取材先でカメラのメモリーがいっぱいになったときも、スケッチしていた。
白紙のノートを買いに文房具屋へ行き、最悪の場合も考えてクラフトナイフがあることも確認する。
ざらざらと、部屋からの景色をスケッチ。

引き続き、ロビーに降り、そのあたりにいる人を1分クロッキー。
体型が違うなあ、男も女も、いい体つき、いい着こなしだなあ。
そんなことを思いながらさらさら描いていたら・・・電話が!
迷ったおじさんに場所を説明できず、さっきまでこっそりモデルにしていた掃除の兄さんに電話を押し付け、説明してもらう。
ようやく会えた、いとしい荷物!
再会を祝し、スーツケース君と記念撮影。
早速荷を解き、準備、落ちついたところで作業にかかる。
本当に、よかったよ・・・


いよいよイギリスでの切り絵制作に入ります。
つづく。
| 英国切り絵滞在記 | 03:54 | comments(0) | trackbacks(0)
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