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英国切り絵滞在記8


英国切り絵滞在記8 「イギリスで闇を思い出す」


観覧車、真横から見るとイマイチなんだかわかりませんね。
ここはどこ?大阪です。(その他の写真はイギリスです)

ライブでもないのに大阪に行くのは、京都に越してから初めてかもしれない。
少しの明りもない真っ暗闇の空間を、視覚障害を持つアテンダントさんの案内で体験するというイベントに行ってきた。
暗闇のソーシャルエンターテインメント、とチラシに書いてある。


なぜ「英国切り絵滞在記」で日本のイベントのことを書くのか。
何年か前、確か実家のラジオでこのイベントのことを知ったときは、「お金を払って暗闇を味わうなんていかにも都会人の考えそうな企画だ、しゃらくさい」と、ひねくれものの私は思って、そのまま忘れていた。
それが、この夏のアーティスト・イン・レジデンスで、東京のそのイベントに参加したアーティストがいて、そこで思い出し、日本帰ったら行こう、そう思ったから。




私は、闇にとても興味がある。京都に行くことが決まったときに、闇を見たいんですと、友達と話していた。京都は闇に深さがあるところだと思っている。歴史がある分、時間の奥行きが加わっているからか。
もちろん象徴的な意味の「闇」と、実際に光のない状態をさす「闇」と、別物といえばそうだけれど、「闇」という言葉が含むいろいろなものに興味がある。
今回の暗闇体験も、そのひとつ。
それに、薦めてくれた彼女の作品や活動に興味を引かれたし、彼女が感じたその感覚を自分がどう感じるのかも、知りたかった。

感想。
期待以上のすごいことが起こるわけでも、期待はずれでがっかりするわけでもなかった。
そういった、派手な感情の動きを起こす体験ではないかもしれない。
でも、行ってよかった。
チラシにもあるとおり、入場料で運営費をまかなっているそうで、安くはない。
それでも行ってよかったと、心から言える。
今回の参加者、案内してくださったアテンダントの組み合わせが、一期一会の妙で、とても良かった。
でも、これはたぶん、いつ参加しても、誰しもがそう思うと予想する。
初対面でこういった近しさを覚えることができるのも、暗闇の持つ味わいのひとつなのだろう。




私が参加した回は、ひとりは日本での暮らしが長い外国人男性、ひとりはそのお友達の日本人女性、そして私。アテンダントは、視覚障害を持つ日本人青年。
HPを見たときに、視覚が使えない場では言葉でのやり取りが重要になるため、日本語を理解できない方の参加はできないとあった。もちろん今回の参加者の彼は日本語がとても堪能な方だった。
でも話しているうち、もちろん英語も出てくる。
そして、対応する日本人のアテンダントさんもやたら発音がいいなあと思ったら、なんと彼はイギリスに語学留学していたんですって!
それで全員でなんだか盛り上がり、とても楽しかった。
もっと話をしたかったし、聞きたかった。

イギリスがくれた日本での出会い。



真の闇のなかで過ごす時間は、そう、時間がとても短かった。
たぶん、視覚は「一瞥」という言葉もあるとおり、一瞬一瞥で、空間、距離、意味、多くの情報を把握する。
それがないために、音、てざわり、足の感触、においをたよりに、ひとつひとつ、一歩一歩確かめて動くから、すべてに時間がかかる。
約1時間が、あっという間だった。

そしてこの闇の中で目を開けて動く感覚、私自身はしばしばシミュレーションしている。
実際に目を開けて、見えない闇をよく見ている。先日の台風で停電のときも、参ったなあと思いながら真っ暗の家の中を手探りで動いたりしていた。
というのも、私は切り絵をできなくなったら死ぬと思っていて、もし目が見えなくなったら、手が使えなくなったらどうするかということは、時に具体的に考える。
それでも何とかして切り絵をつくる方法を編み出すのか、他の創作をするのかはわからない。
でも必ず、何かをつくろうとするだろう。




温度も、印象的だった。
中庭に出たときのひやりとした空気、乾してあるふかふかの毛布のぬくもり。
ちょっとひとの体にぶつかってしまったときの温度。
出していただいた紅茶のカップの温度。
飲み干した後のカップをいつまでも手にして感じていたぬくもりが、てのひらに残っている。

視覚以外の感覚で歩き、訪れた空間。最後まで目で見てはいない。
体験した直後は、その感覚をそのまま受け入れていただけれど、少し時間が経って思い出すと、その記憶に「かたちのようなもの」が現れていることに気がついた。
ようなものというより、かたちそのものといっていいかもしれない。
これは、何もないところから絵を描くという、普段している行為に通じるところがある。
別の道筋だけれど、「目で見えないもののかたちが現れる」という点においては共通している。
なんて興味深いことだろう。



さて、京都大原留学記番外編英国切り絵滞在記(長い!)今回で終了です。
ちょうど来週、ロンドンで開かれる、アートコンペの入選作品展で作品が展示されます。
たった1点ですが、最初の一歩、うれしいです。


 
 

今回の滞在でわかったのは、「イギリス、ロンドンが実際めちゃくちゃ好き」ということと「今、ここ京都で創作ができるありがたさ」の2つです。
ときどき、もっと早く京都に来ていればよかった、もっと早く海外に目を向けていればよかった、そう思うこともありますが、でもたぶん今でよかった、今だ!と感じたときがベストなのだろうなと思います。


最後に、私の活動紹介の文章に、イギリスで新しくできた友達が付け加えてくれた一文を紹介して終わります。

"She aims to bring her paper-cutting artwork from the cultural heart of Japan to the rest of the world."

日本の文化のハートから世界へ、すてきな言葉ですね!
またどこかで、切り絵をご覧いただける機会があればうれしいです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。



Liverpool Street-Boogie Woogie!?
 
| 英国切り絵滞在記 | 10:51 | comments(0) | trackbacks(0)
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