切り絵作家モチメ
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英国切り絵滞在記5 着物
イギリスで切り絵、ロック名所めぐり、着物でロンドン。
いたってシンプルな野望。
今回はこれ。



英国切り絵滞在記5「ロンドンを着物で歩きたい」

持って行ったのは浴衣、しじら、正絹単衣の3枚。
夏で助かりました。
冬の着物は袷(あわせ)といって二枚重ねになっていて、帯や羽織を入れると一式で5キロ近くになってしまうこともあります。
(以前着ていてあまりにも重くて、実際に計ったことがある。苦行。)
絹の単衣は持って行くつもりなかったのですが、ロイヤルオペラハウスでバレエを観ることになり、それはシルクを着たいなと、急遽詰め込み。このため、足下も下駄1足で済ませるはずが、草履に、部屋履きの雪駄と、計3足に。


下駄はユニクロが中原淳一浴衣を出したときに買ったもの。

でも実は、この下駄こそ一度も履きませんでした。
8月半ば、ちょうどアーティスト・レジデンス期間が終わるタイミングで、夏がストンと終わってしまった。寒いのです、浴衣では、裸足では。
思った以上に活躍したのが雪駄。機内で部屋で近所でと、大活躍でした。

さて、滞在中の8月9日、ロイヤル・オペラ・ハウスで、今回私が切り絵のテーマにした『真夏の世の夢』が、しかも参考に見たバレエの映像の中でもっとも好きだったロシアのマイリンスキーによって上演されるという情報を、バレエファンの友達が送ってくれました。
いつかバレエは観たかった、それがロンドンで、しかもシェイクスピアで叶うなんて!
友達から「大厄の年女のクセにうらやましすぎる絞め殺したい」とメールが来ました。これぞビギナーズラック。
切り絵の作業を中断し、ルトン・タウンからナショナル・レイルで初めてロンドン市内へ。


美しいロイヤル・オペラ・ハウス。

朝から、この日のために追加した絹の単衣を部屋で着付けます。
実はこのとき、手が震えていました。
何度も着た着物、いつもの帯、いつもの髪型、なのに。
強烈な憧れのロンドンにいよいよ行く、しかもイギリスで電車に乗るのも初めて。
それらがあいまって、うれしさと緊張がこのときピークに達していたようです。

しかし、着付け終わり一歩部屋を出たとたん、背筋に芯がびしっと通るのがわかりました。


With Matisse.This exhibition is just for me! 

イギリスに来て、立派な骨格と筋肉をもって堂々と歩く地元の人たちの肉体の姿かたちのよさは、男も女も圧倒的に美しく、飽かず眺めていました。
自分がどんなに洋服でドレスアップしてめかしこんでも、Tシャツにジーンズで胸を張って歩く彼らの格好良さには、足下にも及ばないなあとぼんやりと思いながら。
これは卑下ではなくて、冷静に美しさを視ることは、対象が自分であっても、あればこそ、時に必要。(時に無視!)
だからこそ、着物を着たときに初めて、自分の姿に自信を持って、堂々と外へ出かけていったことに驚きました。
さっきまで手が震えるほどナーバスになっていたのに!

日本人の肉体をもっとも美しく包む衣服は着物なのだということを、改めて実感した瞬間です。
そうか、洋服は「着るもの」であるけれど、着物は「包まれる」ものなんだ。



パリの宿にて。

ただ、私は元々着物が好きですが、かといって「日本人は全員絶対に着物を着るべき」とは思っていません。
何事においても、自分が好きな物事を万人に薦めたいという思いが少なく、むしろそういうことが苦手です。私自身がそのようにひとくくりにされるのが苦しいからです。
そのような感覚でありながら、「着物と日本人のからだ」の強烈なマッチングには頬を張られる思いでした。
長い年月をかけて今ここにたどり着いた、この肉体と着物という衣服の組み合わせの美しさ、また、それを美しいと感じる共通の感覚を持ち合わせた人たちが、異国にも存在しているということ。
不思議です。
美ってなんだろうなんてことを、思ってしまいます。

海外で着物、ここから得られたことはまだまだあるのですが、まとめられずにいます。
言葉は、むずかしいです。
思い残しつつ、今回はこれにて失礼いたします。
| 英国切り絵滞在記 | 15:58 | comments(0) | trackbacks(0)
英国切り絵滞在記4 ロック

All of buses should be painted this design!

英国切り絵滞在記「ロックをめぐる冒険」

渡航前、ロンドンの地図に「ウォータールー駅」の文字を見ただけで、涙をにじませてしまった私です。シャラ〜ラ〜
今回はひたすら、大好きなロック、ロックで参ります。

1.Victrian and Albert Museum

パンチとジュディーの右下にたたずむのは・・・!?


そう、One of my best favorite band 'The Who' Pete Townshentのギターです!
たしか最後にピートがギターを壊したのは、日本のロックフェスティバルです。
かっこよすぎて泣きます。


壊れたギターを収蔵する国立博物館、その懐の広さ、大好きなセンス。
このTheatre and Performance部門には他にもこんな展示が。おおお。
さすがオリンピック閉会式をロックフェスにしてしまった国です。大好き。


ミックやペイジの衣装。スマーーーート!!

'Power to the people'ありがとうV&A

2.The Beatles 'Masical Mistery Tour' London Walks


ビートルズ・スポットを2時間かけて歩くツアー。
ツアーガイド横のかわいいロック・キッズが着ているハーフ・シャドウTがうらやましくて、後で似たようなのを買った。
今回ビートルズTシャツ3枚買いました・・・
ジョンの住んでいた部屋を見たり、ポールとリンゴが結婚式をした協会を見たり、最後は目玉の、アビーロード!
渡った・・・感無量。
白線のジグザグが美しくないけど、道と木々と建物のたたずまいに、じんわりと。


解説にも熱が入ります。
ところでこのツアー、参加者に天使がいた。
この巻き毛のブロンドってば・・・!
ちゃんとガイドのお話聞いていてSooo Cute!


3.York Castle Museum'The Sixties'


古城。
ロンドンから列車で2時間の古都ヨーク。
史跡が好きなのでその目的で来たのですが、なぜここにこのような?というロックとの出会いが。
Englandの歴史の美術館だから近現代のコーナーとしてあるのでしょうが、古城との取り合わせとのミスマッチにぶっとびました。
入った瞬間"My Generation"かかってるし!!

ここで会ったが百年目と、ロジャーに速攻ひっつく私。
ビートルグッズのギターのなんだろうこれ・・・欲しい・・・


奥にベスパまで!なにここは〜
ヨーク・・・不思議な街。見かけたいろいろ。MOR?Not Rock!?


4.The Kinks Pub

Ray Davisが住んでいた家の前にあるパブ。
キンクスのファーストライブとラストライブはここでしたんだよと、連れてきてくれた新しいロック友。
それは、ラストは、超プレミアだっただろうなあ・・・




内装最高、雰囲気最高。
でも、行った日のBGM、現代ポップスだったの!
なんでーーー!!
これでキンクスか、'60s,'70sロックだったら最高なのにというか、かかってないとおかしいじゃない!
(キンクスナイトは別の日にあるみたいだけど)
グラスのワインをブンブン回しながら、今はなきTHE”ロック”食堂を思い出し、いかに贅沢だったかを噛み締めた。
おいしい料理を食べながらお酒飲みながら、いいスピーカーで大音量で好きな音楽を聴けて。今こそ行きたい。もっと聴きたい。

後ろで踊るオネーチャンに加わりたい。

5.'Let It Be' Musical at Garric Theatre


遠目には、かなり・・・!
そっくりビートルズによるバーチャルコンサート、でも、充分楽しみました。
さすがに演劇の国、声も動きもよく似せて、しっかりとプロの仕事。
当たり前だけど曲がすばらしいから、アンプを通して大音量で聴けて(本当はもっと爆音欲しかった)、それで踊れるだけでも充分幸福。
会場もおじちゃんおばちゃんが楽しんで盛り上がっていていい雰囲気だった。
しかしステージのスクリーンに大写しになるくらい、例によってガンガンに踊りまくっていた私は、ヨークで買ったばかりですごく気に入ったピアスを片方なくしました・・・ええ、バカですよ・・・

ノリノリで大合唱の会場!

以上のように、いろいろとつめこんでロック名所へ出かけました。
ほかにも印象的だったのが、メトロや街のミュージシャン。
みんなそこでの演奏の許可をもらっているプロフェッショナルでしょう。
思わず足を止めてしまう。
時間がなくて通り過ぎてから、あ、ジョージのソロの曲歌ってた・・・とか。
心に残っています。

彼女のステージ。

イギリスで切り絵を発表したいと思うようになったのは3年前、それまでも単発的に好きだったブリティッシュ・ロック、中でもThe Beatles,The Who,The Kinks...といった、'60s-'70sのバンドに、ぞっこんはまり始めてからです。
大好きなバンド以外も、当時のロック・スターがそれぞれまとうこの時代のatmosphereは特別で、ミュージシャンばかり30人のポートレートを切り絵で作ったりしました。

ロック以前、10代のころからひきつけられてきたイギリスの文化。
アリス、マザーグース、シェイクスピア、妖精、ケルト、・・・
もちろん現在の文化であるロック・ミュージックにもこれらの影響が垣間見えることもあり、私がイギリスのロックに惹かれたのも、もともと親しみがあったからと思う。

私が惹かれてきたものは、音楽にしても文学にしても、伝統文化にしても、もちろん美術においても、大体においてイマジネイティブで、映像的、演劇的です。
すべての意味が聞き取れていなくても、音楽や言葉の連なりのイメージから、物語が感じ取れ、映像の色彩まで浮かんでくる。
たとえば"Lucy in the Sky with Diamonds"
聴くだけで広がる、あの、青と金のきらきらのイメージ。

想像力、創造欲を刺激され続けてやまないのが、西洋では私の場合主にここイギリスの文化なのです。

元来の土着の文化と、海で隔てられた大陸からの絶え間ない影響。
この二つが交じり合いながら、島国という限られた土壌の中で独自の発展してきた文化、その日本との共通性に共振する部分も、実際に見聞きし、ところどころある気がします。

ともあれ、今の私の情熱の矛先は、ロックです!
ゆえにこの旅も、ロック・スポットに必然的に向かうことになりました。
ああ、本当はライブに行きたかったよ、リサーチもしたけれど、今回はあきらめたよ。
The Whoのラストツアーは年末だよ。
さすがに、年に2度もイギリスに行く余裕はない気がするよ。
でも、今回のロンドン'60s-'70sロックをめぐる冒険、充分に楽しかったです。
また、他にもここゆくべし!というお勧めスポットがあれば、ぜひコメントで教えてください。
次の楽しみにします!


Waterloo sunset's fine...!
| 英国切り絵滞在記 | 11:11 | comments(0) | trackbacks(0)
英国切り絵滞在記3 切り絵

特に面白いことは起きません。この調子で、丸一日。
常に左手の小指が立っている。


英国切り絵滞在記3 「切り絵ができあがるまで」

lost luggageで2日遅れで荷物が届いたその日から、作業を始めました。
環境の変化やトラブルからの自律神経への影響か、手汗を異常にかいていて、あっという間に本番の紙がふにゃふにゃに!
作品に直に手が触れないようにするあて紙が、コピー用紙一枚では足りない。
こらあかんと、2枚のコピー紙の間にビニールをはさんだ、特製あて紙を作る。手袋も持って来ていてよかった。
でも、作業2日目以降は落ちついて、ひどい手汗も収まりました。
切り絵の作業は本当に集中を要するし、作業しながら自分の体調や内面がよくわかる。常に安定して切り絵をできるコンディションを保つことが大切です。

さて、ここから一気に、作品を仕上げていく過程の画像を載せます。
黒い一枚の紙が、少しずつ切り抜かれて形が現われてくる。
質量が減ることで、新たな「絵」が生まれる不思議。

 1日目、約5時間。
 2日目、約8時間20分。

 3日目、約7時間。
 4日目、約8時間。
 5日目、約9時間。
 6日目、約6時間30分。
 7日目、約8時間。
 8日、9時間20分。
 9日、12時間20分。








"A Midsummer Night's Dream" Mochime Paper Cutting 2014
累計時間73時間30分(1日平均8時間10分)
変えた刃の枚数80枚(うち2,3割ほどは切れ味悪く使えず)


今回は台紙に貼らず、切ったままをアクリルフレームに入れ完成。
このフレームも日本から持ち込みました。

制作過程の画像は、リアルタイムで毎日、オフィシャルサイトFacebookにアップしていました。
通常は、作品が仕上がるまでは基本的に写真は載せません。
途中の過程が人目に触れることで、自分の心身の状態に影響が出て、切る作業に影響してしまう可能性があるからです。
考えられるリスクは完璧に避けて作業しています。
今回は、せっかくの機会なのでチャレンジしてみました。
些細なことのようでも、やはり少し、気持ちと作業に影響がありました。
でも、プラスのほうが大きかった。
アップした画像を見てできていく過程が自分でもおもしろかったし、なにより見てくださった皆さんの反応があたたかく、本当に励みになりました。
コメントくださったり応援してくださった皆様、ありがとうございました!本当に感謝です。



スーパームーンが上る数時間前、同じ場所にかかった。虹のゲート。

海外での初めての制作で、無事に完成させることができ本当によかった。自信になりました。
前回制作の環境づくりのことを書きましたが、もうひとつ、制作に入る前と終わったあとにする大事なことが、ぱちん、ぱちんと手を打つこと。
ごはんを食べるときに「いただきます」「ごちそうさま」を言うのと同じ感覚です。
身一つでできるささやかな儀式。
よしやるぞ!という気持ちになるし、部屋の空気が創作のための場に変化する、気がする。
拍手を打つのは、歌舞伎や相撲といった伝統文化の世界ではよく見られる光景ですが、演劇の世界では現代劇の小劇場でも小さな神棚がたいていあり、学生のころ演劇部だったこともあって身近に感じ続けていて、自分でも自然とするようになりました。
基本失敗が許されない作業なので、特に大物に取り掛かるときは、無事に切り終えられますようにという気持ちをこめて、手を打って始めます。今回もぱちん、ぱちんと始め、終わりにも手を打ち、元の空気に戻し、安定した環境を保ってくれた部屋へ感謝をし、レジデンスを後にしました。


部屋の窓からいつも見ていた協会。
中に入れていただき、ステンドグラスの美しさに息をのんだ。
ありがとう、ルトンの町。


次回はおたのしみ、ロンドン・ロック観光についてレポートします。
あの交差点も渡ったよ!
| 英国切り絵滞在記 | 12:53 | comments(0) | trackbacks(0)
英国切り絵滞在記2


英国切り絵滞在記2「作業環境を整える」

8月4日〜17日
いよいよArtist Residence in UK、イギリスでの切り絵制作本番です。
今回は、それを支えるここでの日々のくらしのことをご紹介します。
約2週間にわたる作業で、集中とリラックスした状態を保つために、環境づくりはとても大切です。

まず衣服。
普段京都のアトリエでするときは、締め付けのないひたすら楽な格好。
でも、外で実演する機会もしばしばあり、できれば作品に合った伝統的な服装をしたい。
着物がベストなのですが、あの帯の幅は、前かがみの姿勢を保つこの作業には全く不向きで、長時間は無理です。
模索の結果、たどり着いたのが作務衣。
上の写真で着ているのがそれ。
お坊さんが普段着にされたりもしています。それだけ労働向きで、しかも日本的なイメージもある。洗濯機で洗える実用性もポイント高し。
私が着るとちょっと居酒屋の姉さんぽくなってしまうのですが、木綿で着心地よく、楽で好きです。
足もとは、部屋や近所への買い物、飛行機の中でも雪駄をはいていました。

これは浴衣。ちょっと無理してるとこ。

食べ物は基本自炊です。
とはいえもともとI don't like cocking(>_<) なので、日本の夏と変わらず、ラタトゥイユをつくり置きしてして野菜を食べて、あとはパンを主食にハムチーズ卵くだものなどなどで、日々過ごしていました。
時々惣菜パンを買ったりして、モノめずらしく飽きず、特に不満のない食生活。
TESCOで買える野菜が、日本のスーパーのものに比べ、野菜の力、味も生命力も強く、冷蔵庫で日持ちもしたので、おいしくいただいていました。
調味料も塩コショウだけで平気。
特にしょうゆやお味噌も恋しくはならず、その場で食べられるもので充分でした。
あ、ちょっとだけ柿ピーが食べたくなったけど。
無意識におやつのために買ったビスケットが、ブルボンだったのは軽くショックでした。


元気な野菜たちとある日のごはん。中食いろいろ。
セロリは葉っぱが切り落とされてる!おいしいのに〜


忘れてはならない、忘れるわけがない、音楽。
作業への集中や、気持ちの鼓舞、リラックス、自分のモードの切り替えにとても重要です。
スピーカーもいつも家で使っているものを持参。
たいてい日英どちらかのロックを聴きますが、今回はほとんどThe Beatlesでした。
日本の音楽では、たま、たけヒーローを聴いてた。
たまは聴きこみすぎて、ほとんどめったに聴かない、聴けない大切な音楽ですが、今回なぜかふと聴いた。
たけヒーローは友達で、たぶんここ1年で一番聴いている日本のミュージシャン。

だいたい毎回、今回はこの曲、アルバムという風に、テーマ音楽が自然と決まってきます。
今回最大の一曲はThe Beatles"Strawberry Fields Forever"でした。
この曲がかかったとき、今回の旅で初めて泣いた。
荷物が届かなくても夜道で不安になっても涙なんて出なかったのに、この曲で、初めて。
しばらくエンドレス・リピート、数時間聴き続けながら作業していました。
あとは"Let It Be Naked"の最後の、メンバーの会話とセッションの様子が聞けるトラック。
会話の声自体が魅力的で、何度聞いても飽きなかった。
あとはThe Kinks、The Who。
この調子ですから、もちろんロンドンでロック観光しました。この話はまたの機会に。

大事な相棒たち。

さて、前回書いたとおり、個室での作業で、外界と接触する機会が一切設けられていなかった今回の滞在。
現地のマネージャーに申し出てもそういった機会の設定は難しいようで、ならばと自分たちでできることをしていくことに。
もちろん制作環境にプライバシーは必要だけれど、少なくとも海外に出て創作しようと意識で来ているのだから、日本と同じ環境で満足がいくわけがない。
もちろん法に触れる無理はしないけれど、何もしないで後悔するよりも、失敗してでもしてみないと気がすまない性格です。
以下、希望リスト。

・施設がある大学にアートコースがあることを発見、交流できないか交渉してみる。
・画家のKさんが持参されたお茶の道具で、カジュアルお茶席を現地の人も見られる共用スペースでする。
・オープンスペースでの作業。

すべて実行しました。
特にKさんとは、こういった海外での交流の意識が共通していたので、一緒に大学へもアタック。
セキュリティーがきつく一発ではじかれることも覚悟していきました。
大学の職員の方は最初、なんやこいつらはという顔。当然です。
でも、日本から来たアーティストで、見学だけでもさせてもらえたらうれしいと申し出ると、できるかわからないけれど、次の受付に行ってみなさいと、最後は親切に教えてくださった。
結局夏休みで交流はできなかったけれど、学内で作品を見学できたり、よい経験でした。
親切に対応してくださった皆さんに感謝。

学内にあって気に入った絵。

お茶会も、今回のレジデンス参加者全員で顔を合わせられて、和やかで楽しかったです。
ありがとうKさん、みなさん!

Kさんセレクトの茶器やクロス。おしゃれ!

共用スペースでの作業も、1時間ほどですがしました。
今後、海外で展示するときなどには、もっときちんと制作の様子を見ていただける機会を設けます。
ロンドンのギャラリーで切り絵を見る機会があったのですが、'Hand Cut'とキャプションにありました。
手で切っていることを強調している。
だからこそ、やはり実際切っているところを観てもらいたい。

切り絵の作業は、極度の集中を要するのでプライバシー環境はもちろん大切。
同時に、私は人や場所と交流していきたいタイプの作家です。
創作はもちろん、作品を伝え、作品を通して美しさ、切り絵の魅力を伝えていくことも自分の役割と思っているし、それができることが最上の喜び。
だから今後も、外に出て行く機会があれば喜んで出かけていきます。
国内海外、おこしやす〜!というお話があれば、ぜひ教えてください。
どんな出会いがあるのか、いつでも楽しみにしています。

次回は切り絵制作の過程を、画像とともにお伝えします。


切り絵と一緒にどこまでも


 
| 英国切り絵滞在記 | 15:20 | comments(0) | trackbacks(0)
英国切り絵滞在記1


ハローハロー。
ロンドンから着物でこんにちは。
ご無沙汰してます、切り絵作家のモチメです。
京都大原を拠点に切り絵の創作活動をしています。
「京都大原留学記」と題したこのブログで、暮らし始めたいきさつ、その様子をつづりました。
今はもはや定住したいぞと、望んでおります。
本当にすばらしいところで、惚れこんでいます。

さて、2014年8月、アーティスト・イン・レジデンスで切り絵の創作と、美術館・ギャラリー巡り、近郊の観光で約ひと月イギリスに滞在しました。
ロンドンで創作活動をするのは数年来の念願です。

今回は、その一歩となる滞在。
その記録を数回に分けて不定期に更新していきます。
切り絵制作の過程、美術館、着物、'60s'70sロック、パブ、観光・・・このあたりをテーマ別にアップしていく予定です。
しばしお付き合いいただけましたら幸いです!


英国切り絵滞在記1「旅の洗礼」




8月2日
憧れのイギリス上陸は、いきなりのトラブルで始まった。
ヒースロー空港でいつまでたっても預け荷物が出てこない。
トランジットの上海空港でのlost luggage。
たまたま印象に残っていた赤いシャツのイギリス人の男の子が、受付で話しているのを発見、走りよって私もだ!と訴ったところ、やっぱり・・・
私はしっかり乗り換えできた、でも、荷物君が置いてけぼりに。
いつ届くのか、Monday!?あさって!?
しかもあなたの英語はすっごくイントネーションが難しい!
赤シャツくんが通訳してくれます、助かった・・・ありがとう・・・
でも、このすったもんだで予約していた長距離バスには乗り遅れたよ!!
手数料払って再発行、予定より1時間半遅れてルトン・タウンへ。
しかもWi-Hi不通でアーティスト・レジデンスの現地マネージャーに連絡ができず、夜の11時に異国の見知らぬ町でいきなり単独行動。しかも、冷える!
ちくしょー、負けない。
Saturday Nightで騒ぐ兄ちゃんたちにHey Girl!と声かえられても、ガールじゃなくてよ今月誕生日で36よ年女よと内心毒づき無視してすりぬけ、印刷した地図を頼りにレジデンスの近くまでたどり着く。
でも、、、大学キャンパスにありがちな、似たような造りばかりで、建物がどれか、全くわからない!
そのとき大学警備か職員らしき女性が通って、駆け寄り声をかける。
ああ、受付はあの建物よと教えてくれる。
そして、夜になると無人になる可能性があると事前に言われていて、最悪野宿もありうると思っていた受付に、人がいた!
助かったあ。
何とか部屋にたどり着き、シャワーを浴びて、ばったん。

Coachバスの窓から。ゆれる、ゆれる。細く赤い月が見えた。

8月3日
こういった可能性もあるからと、1泊分ほどの着替えとシャンプーなどは手荷物に入れていて、非常に助かった。
でも、肝心の、切り絵の道具は当然預け荷物・・・ナイフだから、持ち込みようがない。
この日から早速作業を始める予定も変更、とりあえず明日荷物が届くことを信じ、近所のタウンセンターへ食品や上着(昨夜の寒さに恐れをなした)などを買出しに。
部屋を出たとたんレジデンス参加者ですか?と関西弁が。
今回の参加者と初顔合わせ、京都の画家Kさん。一緒に買い出しに行く。
軽く下調べしていたので、さくさく歩いていくと、慣れてますねーと言われる。
でも海外15年ぶりなんですよと言うと驚かれる。
英語も、ラジオで基礎英語と友達に数日習ったのと、発音はYoutubeで練習、はったりですよと言う。
さて、買い物です。
まずは電化製品店Argosへドライヤーを買いに。
これがないと風邪をひく。腰まである髪を乾かさないと。
Argosは店頭に品物がなく、分厚いカタログが置いてある。
これで調べてその場で注文、店の置くに在庫があればその場で買うシステム、たぶん登録すれば事前注文もできる。
ネットで目星をつけておいた2000円弱の安いものがあったので、買う。
食品店はTESCOがあった!
なつかしい、TESCO。
東京は荻窪に住んでいたころ、近所のスーパーで取り扱っていて、クッキーなどを買ったものだ。
野菜にバナナにハムにチーズ、パン、パスタ、トマト缶。豆乳もある。
5年ほど前、朝のヨーグルトや牛乳を豆乳に変えてから、体調に合っていたらしく調子がよく、それ以降朝に豆乳は欠かせない。
でもイギリスでは無理かなと思っていたけど、そうか、菜食の人などに需要があるのか、Soya Milkとして売っていた。よかった。
上着に日用品に、アイスもハコ買い、ビールも買って、篭城の準備は万端整った。
そして、はたと気づく。篭城?
セキュリティー万全の個室での作業、まったく、外国人と交流ができない!
せっかくイギリスにいるのに英語が聞けない!!
事務局の方に交流の機会を申し出ても、とても、消極的。
ははは。
なら自分で行くわ。
昼のうちに、独りでも入りやすそうなパブを物色していた。
Summer Timeで夜9時半ごろまで充分明るい。

思い切ってゴー、イギリスで初めてのビールは、かわいい安い、缶。
酔っ払ったおじさんたちの会話はほとんどわからない。でも、うれしい。
これから一日の作業の終わりのパブ通いを楽しみに、ここでの日々を送ろう。
荷物があって作業を始めていたら、余裕がなくて思いつかなかったかもしれない。
転んでも、ただでは!


8月4日
レジデンス参加者のみんなと顔合わせ。
洋画、日本画、イラスト、それぞれプロの作家。
実は絵描きの友達が少ない私・・・表現に限らず、他のジャンルのほうがわからないことが多くて、興味をひかれてきたから。
でも、今回ひさびさに絵を描くアーティストの話を聞けて、楽しかった。
自分にはない、でも、ぐっとくる考えも聴けて、すごく面白かった。
この話は、できたら、また。
さて、荷物です。
こんなわかりにくい場所まで、本当に届けられるのか、ものすごく不安だけれど、どうしようもない。
こういうときは絵を描くに限る。
以前取材先でカメラのメモリーがいっぱいになったときも、スケッチしていた。
白紙のノートを買いに文房具屋へ行き、最悪の場合も考えてクラフトナイフがあることも確認する。
ざらざらと、部屋からの景色をスケッチ。

引き続き、ロビーに降り、そのあたりにいる人を1分クロッキー。
体型が違うなあ、男も女も、いい体つき、いい着こなしだなあ。
そんなことを思いながらさらさら描いていたら・・・電話が!
迷ったおじさんに場所を説明できず、さっきまでこっそりモデルにしていた掃除の兄さんに電話を押し付け、説明してもらう。
ようやく会えた、いとしい荷物!
再会を祝し、スーツケース君と記念撮影。
早速荷を解き、準備、落ちついたところで作業にかかる。
本当に、よかったよ・・・


いよいよイギリスでの切り絵制作に入ります。
つづく。
| 英国切り絵滞在記 | 03:54 | comments(0) | trackbacks(0)